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名古屋高等裁判所 昭和24年(控)1366号 判決 1949年12月28日

被告人

崔興吉

外一名

主文

本件控訴は孰れも之を棄却する。

理由

被告人崔興吉の弁護人鈴木貢、同相沢登喜男、被告人裴寅洙の弁護人相沢登喜男の各控訴の趣意は、夫々末尾添附の同弁護人各名義の控訴趣意書と題する書面記載の通りであるが、之に対し、当裁判所は次のように判断する。

被告人崔興吉の弁護人鈴木貢の控訴の趣意に付いて、

先ず論旨一の(一)に付いて、按すると、抑々刑事訴訟法に所謂証拠書類とは、当該訴訟に関し、証拠の用に供する目的を以つて作成された報告的内容の文書を指称するものと解するを相当とするところ、本件記録に添綴されて居る所論の竹内太六、鈴木つる子の各供述調書、堀田末松、吉田なみ子の各盜難被害届、佐藤顯栄の被害届謄本、桑山七五三郞、河野元雄、浅井富次、裴寅洙の各供述調書を観ると、右が夫々曩に説明したような報告的内容の文書に該当することを認め得られるので、前記の所論各書面は孰れも之を刑事訴訟法に所謂証拠書類と謂うに何等妨げがない。而して刑事訴訟法第三百五條の規定に依れば、証拠書類の取り調べをするについては、之を朗読すれば足るものであり、原裁判所が前記の所論各書面を取り調べるに際して、夫々之が朗読されたことは原審公判調書を通じて認め得られるが故に、右各書面に付爲された原裁判所の証拠調手続は適法であり、從つて原判決が所論の原判示各事実を認定するに際し、之が資料として右各書面を援用したのも亦正当であつて、此の点に関し、原判決には所論のような違法の廉が毫も存しない。

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